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Good Designの作り方(私案)

視覚的なトリックを駆使して、良い意味でユーザーを「だます」アップルのデザイン思想は、マルチタッチ技術などのインターフェース開発にも反映されている。同社の持つインターフェース関連技術を詳しく調査すると、そこからは、ある一貫した設計思想が見えてくる。それが、画面上で目に見えるものだけに頼らない「人間の身体感覚」を重視したインターフェースデザインだ。

~iPhone/iPadに込められた「見えないデザイン」。体感を最優先して、先回りするインタフェース~

数年前、私が携帯電話の商品企画を担当していたときに、マーケット調査や市場環境から、携帯電話のデザインを強化する必要があるという方向になったことがあった。

当時は、「デザイン」を強化する必要があるという認識は持っているものの、携帯電話(フィーチャーフォン)のデザインコラボ端末が、一部の機種は沢山売れるもののの、全く売れない散々な機種もあるといった状況。そういう中で、どうやって強化していくべきなのか?ということが我々のミッションだった。

同僚の中には「デザインというものは感性や感覚的なもので、良いデザインは『感性豊かな』デザイナーでないと作れないので、これからも『デザインコラボ』携帯電話は必要(むしろ増やしていくべき)だ」と主張するメンバーもいたが、そもそも、「デザイン」に関しては、なぜかそういった「大きな誤解」がある。

最近、iPhoneのデザインに関して調べてみたことがあったが、日本語の記事では、インダストリアルデザイン界のスーパースターSir Jonathan Iveに関する記事が多かった。ここからも、分かるが、やはりデザインというのは、巨匠といわれるようなデザイナーがイラストだかイメージだか分からないようなものを書いて、それをプロダクトとしてまとめていくものというイメージがあるらしい。

そういう中で、上記のような記事が出はじめており、ようやく「デザインとはデザイナーの発想だけによるものではない」ということが、一般の中でも認知されてきたのかもしれない。

 

それではどうやって「良いデザイン」は作られるのか?

私は、

①誰に何のために使ってもらうのか?という明確な目標
②そのために必要な要素の抽出
③過去の事例等の検証や調査などから、利用するユーザの要求レベルの確認。
④③を元にした、それぞれの要素に対する実現すべき目標設定。
⑤④を実現するための素材、技術とエンジニア
⑥(と、それらを理解して、表現をすることのできる)デザイナー
⑦(それら全てを理解して)異なるプレイヤーをまとめることのできるオーガナイザー

の7つの要素ではないかと思う。


これは、WEBデザインひとつにしても、建物の設計に関しても、大きく変わらず。これらすべてがそろったときに、初めて「その使い手にとって」良いデザインが生まれると思う。

そして、そのために⑦が重要なのは言うまでもないが、実は一番難しく、しかも重要なのは⑥ではなく、①と④であるように感じる。

優秀な⑦がいれば問題はないのだが、メーカーのインハウスデザイナーと話していて、よくある話は、①のターゲットや目標設定があらゆる制約条件の中で、知らない間に変わってしまい、目標とするものができないということが多い。

また、④についても、③=④になってしまうと、ユーザーの「声なき声」を見逃してしまうことが多く、特にマーケティング偏重のチームが陥りやすい罠だ。たとえば、「どういうデザインの○○が欲しいですか?」というアンケートをそのままデザインすると、極めて凡庸でつまらないものができたりする。ユーザの心理を理解し、どのようなものを使ってみたいのか?使えるのか?を理解して目標を設定しなければいけない。

 そして、再度になるが、一番大事なのが、⑦。アップルで言うと、まさにSteve Jobsである。Steve無き今、Appleが一番苦労するのがこの「デザイン」の分野であるのは間違いないだろう。

⑦を堅実な実務家であるTim Cookが担当するのか、それともJonathanが⑦を兼ねるのか?Steveのことであるから、おそらく自ら亡き後のフォーメーションも明確に示しているだろうが、次のプロダクトがどのように作られるのか?というところは非常に興味深い。